ぼちぼちいこか
AC長野パルセイロ・信濃グランセローズを中心に、スポーツいろいろ見聞録
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ルートインBCL2014 vs新潟・後期最終戦@長野オリンピックスタジアム(大塚晶文引退試合)
失意の金沢遠征から一晩が過ぎ、今日は当初は北陸路を寄り道しつつのんびりドライブしながら帰ろうと思っていたが、長野オリンピックスタジアムでBCLの今季最終戦が行われ、そこでグランセローズの#11大塚監督が打者1人限りの復帰登板を果たすという事で、こりゃ見過ごす訳にはいかないとまっすぐ北陸道をとばしてオリスタへ直行した。
昨日は“赤-黒”のチームを倒せ!と“橙-紺”のチームを応援し、今日は正反対に“橙-紺”に勝つぞ!と“赤-黒”のチームを応援するというのは何かの因縁だろうか? ま、どーでもいー事だけどね。。。

さて、今年からセローズの監督としてチームを引っ張ってきた大塚晶文氏は一応選手兼任で登録しているものの、5回にわたって手術した肘の具合が思わしくなく、また監督という責任ある立場から個人の事は後回しでチームの指揮や指導に追われていたため、セローズに入団した去シーズン途中からここまで自身の登板はゼロで、本人も「このまま引退セレモニーも行わず静かに現役から身を引こう」と思っていたのだが、諏訪市在住で重い心臓障害を患う少女・小松愛子さんの激励に訪れた際に、心臓移植に必要な莫大な費用の募金を呼びかけ「少しでも愛子ちゃんの力になれれば・・・」ともう一度マウンドに上がる事を決意したとの事で、“炎のストッパー”と呼ばれた現役時代さながらの、大塚監督らしい意気あふれるエピソードだ。
(この“あいこちゃん募金”はパルセイロの土橋アンバサダーもブログの中で呼びかけていましたよね。)

タイミングよく11時半の開場直後に南長野に到着するとスタジアム入口から長蛇の列が延びており、中には“大塚再登板”のニュースを聞きつけてはるばるやってきたのか監督が現役時代に所属していた今は無き近鉄バッファローズのユニホームやタオルマフラーを身に着けている人もちらほら見られた。
最近はホームゲームでも1,000人を超える事が稀なBCLの試合で1,533人という多くの観客が足を運んだ中で行われた今シーズンのBCL最終戦、その結果は以下の通り。

 新潟AB : 000 001 000 = 1
 信濃GS : 231 210 00× = 9
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もうBCLは後期の優勝チームも決まって今日はいわゆる“消化試合”なのだが、ここで敗れて監督に恥をかかせるわけにはいかないと選手も気合が入っていたのか、早くも1回裏に先頭打者の#0渡嘉敷がヒットで出塁すると、2番#33ダイチがレフトの頭を越す3塁打を放ち電光石火の先取点を決め、更に内野ゴロの間にダイチが生還してもう1点。
続く2回裏もヒットと四死球でノーアウト満塁のチャンスに1番#0渡嘉敷が走者一掃の2塁打で3点追加。
それ以降もセローズ打線は効果的にヒットを連ねて5回まで毎回得点で1塁側スタンドはお祭り騒ぎの大盛り上がり。

特に自分が嬉しかったのは、今日はそれでも消化試合という事でこれまで出場機会の少ない若手の起用が多かったのだが、中でも6番ファーストで先発出場した#55平田が3回に放ったホームランだ。
この平田選手はシーズン中は他の選手が試合用のユニホームを着ている中でいつも練習用の色あせたユニホームを着こみ裏方の仕事をしているのだが、明るいキャラで選手達の“イジられ役”をしており、ファンからも愛されている選手だ。
今日は晴れて正式なユニホームで試合に出たのだが、178cm・110kgの“ドカベン体型”に合う自分用のユニが無いのか、今日は一足先に母国に帰ったバルデス選手の80番のユニを着て出場。
そのホームランバッター・バルデスの打力が乗り移ったのか、思い切って振り抜いた打球がライトポールを巻いて塁審が手をグルグル回した時は、いつも裏方で苦労している姿を見ていたセローズファンが飛び上がって大歓声を送っていたし、選手達もホームインした平田選手に本当に嬉しそうな顔で揉みくちゃにするなど手荒い祝福をしていた。(大塚監督も投球練習していたブルペンから飛び出してハイタッチの列に加わっていた。)
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そんなこんなで順調に得点を積み重ねる打線に負けじと投手陣も奮闘。
先発の#15門中は立ち上がりこそ球が上ずっていたが、投げ込むにしたがって球筋が安定し、サイドスローから繰り出されるキレのよいボールで凡打の山を築き4回を無失点に抑えると、5回を任された#19甲斐も全盛期を思わせる重い球で難なく新潟打線を料理。

そしてグランド整備が終わった6回表、愛する家族を先頭にセローズの全選手がブルペンの出口に並ぶと、「グランセローズのピッチャー、甲斐に変わりまして・・・大塚!」のアナウンスから、「ゴーン、ゴーン・・・」と重々しい教会の鐘の音で始まるサンディエゴ・パドレス時代の“出囃子曲”と共に、遂に大塚“投手”が登場。
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見送る選手一人一人と丁寧にハイタッチを交わすと、右手でポーンとグラブを叩く現役時代と全く同じ仕草で気合を入れ小走りにマウンドに上がり、緊張の面持ちでの投球練習を終えていよいよプレー再開。
久しぶりに見る大塚は、やはり7年というブランクと決して万全とはいえない肘のコンディションからか全盛期のような体全体で投げる躍動的なフォームとは程遠かったが、それでも一球一球を真剣に魂のこもった投球を見せる。
そしてツーストライクと追い込み、キャッチャー#51尾中のサインに思わず苦笑いしながらウンウンと頷いて渾身の力を込めて投げた“伝家の宝刀”高速スライダーで見事空振りの三振に仕留めると、内野手がマウンドに駆け寄り“打者1人だけの復活登板”に最大限の賛辞を送った。(中には泣いている選手もいました。まだ試合中だけど・・・)
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そして大きな拍手の中で深々と頭を下げて名残惜しそうにマウンドを降り、ファールラインを跨ぐ前にもう一度マウンドに戻ってピッチャーズプレートを愛おしそうにポンポンと叩いて別れを告げ、今度こそ本当にマウンドを後にしてベンチ前で待つ家族から花束を受け、辛いリハビリ時代を支えてくれた家族と固く抱き合って男泣きの表情を見せた時は、自分も胸に迫るものがあった。
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この感動的なセレモニーが終わり、後を任された#74杉山がさすがに空気を換えきれず#28デニングにホームランを許してしまうが、本来の“職場”に戻った大塚監督が送り出した必勝リレー、#99マイケル~#18小川~#20篠田が1イニングずつをピシャリと締め、9-1の快勝で今季最終戦を飾った。
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試合後の大塚監督の挨拶は、本当に感動的だった。
日本プロ野球を代表するストッパーとしてWBC初代チャンピオンにも貢献し、念願のMLB入りも果たして順風満帆だったものの、2007年に痛みが出て、それ以降は手術とリハビリを繰り返す暗黒の日々で、当時小学生だった息子さんとのキャッチボールでは、リトルリーグの息子はビシビシと力のある球を投げるのに自分の投球は息子に届きもしないほど酷かったようだ。
そんな大塚投手が再起をかけて藁にすがるような気持ちでセローズに入団するも状況は好転せず、今年は監督業も任されて「もうこのまま引退試合もせず指導者に徹しよう」と思っていた矢先に愛子ちゃんとの出会いから生まれた引退登板。
もう一度投げようと決意してからあまり時間がない中で必死の調整を続け、今日無事にその大役を果たした事で、「これでこの右腕も迷わず“成仏”してくれると思います」というコメントが妙に生々しく、本人の気持ちを率直に表していると非常に印象に残った。
自分の中では、これはトップアスリートの引退挨拶の中でも十指に入る“名言”だと思う。

また家族に対してのメッセージも印象深く、特に息子さんに対しては「おーい、どこにいるんだ!」と呼びかけられてスタンドで席を立った息子に対して、「オマエの夢であるメジャーリーグ入りが叶ったら、是非焼肉でもおごってくれ!」と笑いを誘う愛情満点のコメントが最高だったし、献身的に支えてくれた奥様に対するコメントでは自分も自然と涙があふれてきた。
かなり長い話になったが、時折笑顔を交えながらカッコつけずにありのままの気持ちを熱く語る大塚監督の姿は現役当時を彷彿とさせる魂のこもったもので、本当に素晴らしいスピーチだった。
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こうして日本プロ野球の一時代を築いた名投手の引退セレモニーが片田舎のマイナー独立球団の試合でささやかに行われたのは、本人にとっても、そして日本の野球界全体にとっても非常に意義深いものがあると思うし、その瞬間に自分も立ち会えたのはとても幸せで、BCLというリーグが運営され長野県にもチームがある事を改めてありがたく感じる。

そんなBCLも、来年は熊谷市を中心とした埼玉県北部をホームタウンとする『埼玉ヒートベアーズ』と福島県初のプロ野球チーム『福島ホープス』が参入して全8球団に拡張し、形態もそれまでの3チームずつの“地区制”(他地区同士の試合も随時行われる)から完全な“2リーグ制”に移行するなど新たな時代に突入。
その中でセローズは、それまでの新潟・群馬との上信越地区から富山・石川・福井の北陸勢と同じリーグに移り来季を戦う事になった。
今年のセローズは前期が12勝18敗6分の最下位、後期が17勝15敗4分の2位とまたしても悲願の優勝を逃す結果となってしまったものの、大塚監督以下コーチ陣の頑張りもあって後期は来シーズンにつながる大きな手応えを感じたが、果たしてリーグが再編され新システムとなる来年はどんな結果に終わるのだろうか?
願わくば新しいリーグの初代チャンピオンになってほしいのだが、いち野球好きとして、結果がどうあれこれからも地元のプロ野球チームを愛し、生の野球観戦を大いに楽しんでいきたいと思う。

そういえば今日の試合後、一連のセレモニーの前にセローズ応援団から新潟ベンチに向けてAKB48の『ヘビーローテーション』のトランペット演奏が贈られた。
これは今年で引退する新潟の#56青木智史選手の打席で新潟ファンが奏でる応援歌で、ライバルチームの強打者として再三セローズを苦しめ、また去年までは兼任コーチとして新潟を常勝チームに育て上げた青木選手に対するセローズファンの敬意と労いを込めた粋な計らいであり、セローズ応援団の“大ファインプレー”だ。
これには青木選手も一旦引き上げていたベンチから再びグランドに出て、1塁スタンドに向けて大きく手を振り感謝していた。
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確かにBCLはNPBに比べればレベルも低いし一般論で言えばあまり魅力がないかもしれないが、独立リーグならではのファンと選手のこんな素晴らしいやりとりが見られる、レベルだけでは語れない大きな魅力を持ったリーグだ。
それだけに来年チームが増えるのは本当に喜ばしい事だし、自分もパルセイロ優先であまり試合を見に行けないけど、少しでもリーグの存続や発展に貢献できるよう時間があれば積極的に会場に足を運んでいきたいと思う。

とにもかくにも、来年こそは絶対に優勝しようぜ、信濃グランセローズ!!
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2014/09/16(火) 01:08:58 | | #[ 編集]
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